タイトル

やつがれが・・・前巷説百物語




うまい。素晴らしいとか、構成がとかそういうことではなく、かっこええ芝居をみたような読後感を味わえると俺は思います。節回しや韻、古典からの引用、その他京極夏彦を知る人は今更説明されるまでもないのですが、書かずにはいられない。

今回は今までの京極作品には感じられなかったことが一編一編にみられたような気がします。それは、形式は時代小説の形式をとってあるのですが、問題となるテーマなんかは現代に通じる、いや、現代の問題をそのまま又一が解決するという風に感じました。子供に対する虐待、警察(この小説の中では町方)機構というもののありかた。差別問題。人間関係、家族関係。数え上げればきりがないほど多種多様な問題が見え隠れしています。

俺はほかのミステリーと呼ばれる小説はあまり読まないのです。まあ横溝正史などは読みますが、トリック重視、誰が犯人かの謎解きがメインテーマになっている小説は読みません。というのは、実際に人殺しがあった場合に犯人が誰か?アリバイ工作はどうか?密室か?そんなことはどうでもええからです。もっと言うならば自分の愛する人が殺されたとします。その場合、あなたは、殺され方が気になりますか?犯人の逃走経路が気になりますか?凶器が気になりますか?ならないでしょ?

一番気になるのはなぜ!ということだと思います。

それを大半の娯楽小説はないがしろにしていることが多いと思います。

人が人を殺す・・・それは大事であると同時に、人が死ぬという至極普通の事が合わさっているのです。人間が死ぬの100パーセント死ぬ。わかりきったことである、しかし、人が人に殺されるということはかなりの特異なケースなわけです。そこにはそれぞれの哲学が存在していてもおかしくありません。

悪い奴、ずるい奴、かなしい奴、幸せな奴、貧乏な奴、かわいそうな奴、金持ちな奴・・・死んでいいやつなんて誰もいねぇよ。

又一が小説の中で言う科白ですが、それこそがみんなが忘れていることなのではないでしょうか?

人は人で、それ以外のなんでもねぇ・・・
侍でも町人でも商人でも非人でも山人でもみんな人だ・・・
死んでいいやつなんか一人もいねぇ・・・

そう又一はつぶやきます。

作中、又一は青臭いといわれつづけますが、結局、今の世の中、道徳教育、命の大切さ、世間体、色々ありますが、青臭いことこそ大事なことなのではないでしょうか?

義理人情を忘れたような現代に、京極夏彦の描く青臭い、人間くさい、時代小説は貴重な作品だと俺は感じました。まあ京極夏彦にしたらそんな風に思ってほしくないかも知れませんけどね。

読み終わったところで云うなら

「いよぅ!京極屋!」と掛け声かけたい気分になる本でした。

名人の落語を聞いたあとにも似ています。

にくたらしいわ!うますぎて!

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コメント

REおちかさん

松本清張な!
まじめな推理小説やな(笑)
俺ね綾辻とかあかんのよ・・・
この巷説は、推理ものっていうよりも、人情噺かな(笑)
必殺仕事人やな!

(゚д゚)(。_。)(゚д゚)(。_。) ウンウン

>一番気になるのはなぜ!ということだと思います。
ハゲしく同意。(ノ ̄□ ̄)ノ
私も、トリックやアリバイの巧妙さは、わりとどうでもええです。
でも、松本清張なんかも好きです。


RE Rebeccaさん

レベッカさんって(笑)
まあおもろいよ京極夏彦はね
ごっつい本やのに・・・一気に読まずにはおれん!そんな感じやね
邪魅の雫もよかったすよ〜

takaさんが、そこまで言うなら読まなくては…。
読後、感想を述べます。
それまでお待ち下さいませ(笑)。

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